晩 冬
二十四節気 大 寒
七十二候 水沢腹堅 さわみずこおりつめる
皆様、こんにちは
今回は、藤田湘子『新版20週俳句入門』第14週目「眼中のも皆俳句」を勉強します。
*継続こそ素質
一ヶ月に三十句作ること 俳句は作っているうちに分かってくる
*そこにある。そこに見える
〈例句〉
どんぐりを数えてみたりテーブルに 美木子
ひと握りほどのどんぐりを、テーブルの上にパラパラとおいたところ。そんなふうに、どんぐりのおおよその分量が見えてくる句。この「見えてくる」ということがすごく大切。詠った対象が、〈そこにある〉〈そこに見える〉というのが佳句の条件。
*季語がうごく
夕空の雲ふえにけり文化の日
夕空の雲ふえにけり暮の秋
夕空の雲ふえにけり寒鴉(かんがらす)
「冬支度」「春祭」「春田打」‥と他の季語にかえても通用する。こういうのを「季語が動く」といって、「まだ不十分」の意味を含んで使われる。「季語が動く」原因は、
①季語が適切でない
②季語以外のフレーズの表現が不十分である
ということだが、ほとんどは〈季語以外のフレーズが平凡で特徴がない〉ことに起因する。
ちなみに空、雲、山、海、太陽、月、星などの、ひろがりの大きい対象だけでフレーズを作ると、たいてい特徴のないものになってしまうので注意すること。
*悪い句の見本
俳句の中に次のような内容を盛りこもうとすると、まちがいなく失敗する。
・道徳観、倫理観、教訓
・理屈、分別臭
・風流ぶり、気どり、低劣な擬人法
・俗悪な浪花節的人情
〈例句〉
蟬鳴くやこの世に命ある限り
風化せぬ悲しみあらた終戦日
蓑虫に似たるさだめか母老いぬ
薔薇咲いて恥ぢらひ我に教へけり
こういう俳句を作らないためには
①俳句に基本的作り方、型はもちろんのこと、「写生」「描写」することを徹底する。
②「俳句は韻文である」ということを意識する。
〈今週の暗誦句〉
玫瑰(はまなす)や今も沖には未来あり
蜥蜴(とかげ)の尾鋼鉄光(まがねびか)りや誕生日
蜩(ひぐらし)のなき代わりしははるかかな
冬の水一枝(いっし)の影も欺かず
中村草田男
【今日の一句】
嫁が君この家の勝手知り尽くし
轡田進