初 春
二十四節気 雨 水
七十二候 草木萌動 そうもくめばえいずる
皆様、こんにちは
今回は、藤田湘子『新版20週俳句入門』の第16週目を勉強しました。
勉強したこと
*新年の句のポイント
新年の句を作るポイント
◉新年らしいポーズをとらないこと
季語そのものに「めでたさ」が含まれているから、季語以外のフレーズは、さりげない言葉で綴る。「あとは季語におまかせ」でちょうどよい。
「お降(さが)り」という季語。これは「元日、または三ガ日のあいだに降る雨や雪のこと」で、ふつうなら、「せっかくのお正月がこれでは‥‥」となるのが常識だが、こういった季語にさえも「めでたさ」は含まれているのである。
〈例句〉
おさがりのきこゆるほどとなりにけり 日野草城
お降りのまつくらがりを濡らしけり 岸田稚魚
お降りやたひらに減りし奈良の墨 殿村菟絲子
*ありうべき嘘
〈例句〉 めでたさに長くつかりし初湯かな さとみ
新年の句。まず季語「初湯」にめでたさが含まれているので「めでたさ」が不要。実際は夕方に入っても、朝にふり替えて詠った方がよりよい雰囲気になるなら、状況設定は自由に変更してよい。
→朝(あした)より長くつかりし初湯かな
ありうべき嘘」はついてもよい。「ありうべき嘘」によって、より現実感が出てくるようならば、ためらわず状況設定を変更すべし。俳句は詩であり創作。事実のみにこだわっていたら、名句はできない。
*類想・類型の意味
〈例句〉 初日記一年の旅予定かな 旅水
季語は「初日記」。初日記や初暦に、その年の主な予定をしるす、書きこんでおくという句はたくさんあるし、表現のしかたも細かい点に違いがあるが、似たりよったりで大した差がない。そういったものを「類想句」「類型句」という。つまり自分独自の俳句がまだできていないということ。
類想・類型の句には、「五年、十年と作っているのに、まだそんな程度のものしかできないのか」という意味も含まれるが、句歴一年ほどの作者が、句歴五年くらいの作者とあまり変わらない類想句を作ったということは〈あるレベルに達した〉ということでもある。
*遠近・大小の組み合わせ
二物配合を明確にし、出来上がった一句の印象も明解になる方法
〈例句〉 遠山に日の当たりたる枯野かな 高浜虚子
遠山⏤遠景・明
枯野⏤近景・暗
ということになる。つまり、〈遠←→近〉、〈明←→暗〉の組み合わせで成っている。それが、単純にして明快であるから、あざやかに印象づけれれる。二物配合・衝撃はこうしたあざやかさが欲しいのだが、それを求める基本として、
遠←→近
のほかに
大←→小
を考えに入れておく。〈明←→暗〉はそれを彩る副次的なものとして利用したらよい。
〈例句〉
花すぎし林檎や雲に五龍岳 水原秋桜子
葛飾や舳さきに坐る破魔矢の子 角川春樹
波除を越ゆる波あり豆の花 清崎敏郎
山かぞへ川かぞへ来し桐の花 飯島晴子
鰯雲日かげは水の音はやく 飯田龍太
「葛飾や」の句は葛飾の大、破魔矢の子の小という明確な大小の組み合わせ、ほかは大小と遠近が併せて組み合っている。最後の「鰯雲」にはそれに明暗も加わっている。
〈今週の暗誦句〉
渋柿の滅法(めっぽう)生(な)りし愚さよ
芥子咲けばまぬがれがたく病みにけり
松本たかし
金剛の露ひとつぶや石の上
ひらひらと月光降りぬ貝割菜
川端茅舎
【今日の一句】
ひし餅のひし形は誰が思ひなる
細見綾子