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俳句の勉強25 第18週 俳句を上手に作る法

 

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 晩  春
十四節気  穀  雨

七十二候  霜止出苗 しもやみてなえいずる

 

皆様、こんにちは

今回は『新版20週俳句入門』18週目「俳句を上手に作る法」を勉強しました。 

 

*俳句上達のコツ

ポイントは「季語」

季語の使い方で一句の成否の50%以上を左右する。

 

・季語(A)とその他のフレーズ(B)とは近づけてはいけない。離して使うことを心がけよ。

・季語を修飾しても効果はない。季語に余分な言葉を使わぬことが大切。

・季語に使われてはいけない。作者が季語を使いこなすのである。

・季語の方を見て作句するな。季語の心でほかのものを見よ。

 

 

 

*季語を離して使う 

〈例句〉

黒板に文字なにもなし夏休

綿菓子の手になつかしや秋祭

春愁やピアノ弾く指ためらへる

 

一句め

夏休〈だから〉でつながる形はだめ。季語を説明する結果になるから。こういう場合、上五・中七はそのままにしておいて、季語を離すようにするとよい。〈だから〉を消すのである。

 →黒板に文字なにもなし百日紅

 →黒板に文字なにもなし秋祭

 「夏休」だと上五・中七のフレーズと直結して〈だから〉になったが、 「百日紅」「秋祭」にすると、一呼吸おいてフレーズと結びついている。一呼吸はいわば間であり余韻である。こういう間を考えた季語を選ぶことが、上手への道。

 

二句め

「祭」だから「綿菓子」が当たりまえ。一句めにならって間をつくる。

 →綿菓子を手になつかしや秋晴るる

これでは祭りか運動会か文化祭かハッキリしないが、それは明確でなくていい。なぜなら、この句の狙いは「綿菓子」のなつかしさにあるから。

 

三句め

これも「春愁」←→「指ためらへる」の関係がストレート。これも季語をさりげないものにして、背後に憂いを感じさせるほうがいいが、「ピアノを弾く指ためらへる」の印象は、もうかなりの憂いを含んでいる。

 

 →春宵やピアノ弾く指ためらへる  「春宵」・・甘美過ぎて俗っぽい

 

 →早春やピアノ弾く指ためらへる  「早春」・・「早春」だとまだ寒さが残るので、「ためらへる」が、心のためらいでなく「寒さのため」と勘違いされそう。

 

 →惜春やピアノ弾く指ためらへる   「惜春」がよい。「春ふかし」でもよい。

 

以上三例でわかるように、二物の(A)(B)がストレートに結びついてくると、軽薄になる。深い余韻が生まれない。つまり、いい間が必要である。このいい間ということを、不即不離(ふそくふり)という。「即(つ)かず離れず」ということ。しかしこれはじつにむつかしい。自分で俳句を作りながら、失敗したり成功したりして、その間合いのコツを感じとっていくよりほかない。言ってみれば、俳句の勉強というのは、この間を覚える勉強だとしても過言ではない。

 

 

*ストップ・モーション 

例句

深雪晴紅茶のレモン浮にけり   美木子

 →深雪晴紅茶のレモン匂いけり

 

いぬふぐりあまた見つけて通りけり   美木子

 →いぬふぐりあまた見つけて跼(かが)みけり   

 

前句

〈深雪晴←→紅茶のレモン〉の二物がよく衝撃している。下五は「匂いけり」のほうが、「晴」とひびき合う。

 

後句

「通りけり」では、そこを過ぎてきたことになる。すると、たくさんのイヌフグリの花がうすれてしまう。イヌフグリの咲いた道の辺のイメージが、読者にはっきりと分からないと句の力は弱くなるから、ここはストップ・モーション。フィルムの回転を止める。したがって作者も止まる。すると「跼みにけり」が適切。

 

 

 

*先人の名句を読む

先人の句を読んで覚えることは重要である。この勉強は俳句の作りの大事な基礎づくりである。

 

 

【今日の暗誦句】

曇り来し昆布干場の野菊かな

七夕や髪ぬれしまま人に逢ふ    橋本多佳子

 

夏痩せて嫌ひなものは嫌ひなり

薄紅葉恋人ならば烏帽子で来(こ)  三橋鷹女

 

 

【今日の一句】

春暁のうす紙ほどの寒さかな  細見綾子