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俳句の勉強22 デリケートな「かな」

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初   春

二十四節気  立  春 

七十二候   黄鶯睍睆  うぐいすなく

 

皆様、こんにちは

今回は、藤田湘子『新版20週俳句入門』第15週目「デリケートな「かな」」を勉強しました。

 

 

勉強したこと

 

*〔型・その3〕

「かな」 基本的な用い方 

<例句> 

金色の佛ぞおはす蕨(わらび)かな  水原秋桜子

傘もつ手つめたくなりし牡丹かな  富安風生

ふるさとを去(い)ぬ日来向(きむこ)ふ芙蓉かな  芝不器男

オムレツが上手に焼けて落葉かな  草間時彦

帯解きてつかれいでたる蛍かな  久保田万太郎

 

構成

 〈堂内(室内)のもの・状態〉 = 〈堂外(室外)・の季語(名詞)+かな〉

(上   五)  (中    七)   (下   五)

                     季語(名詞)かな 

 

   金色の     佛ぞおはす      蕨(名詞)かな

        B               A

 

〔型・その3〕も今までの〔型・その1〕〔型・その2〕と同様に、名詞季語を含む下五と、季語を含まない上五・中七とは別の内容を表している。つまり、季語「蕨」(A)と「金色の佛ぞおはす」(B)との配合、二物衝撃である。

 

 

 

*漢字・平仮名・片仮名

・「や」「かな」 は併用しない

・「かな」を下五に用いるときは、上五や中七につよい切字を使わない。

 上五や中七に切字を入れると、せっかくの「かな」がひびかなくなってしまう。「かな」は下五に使ったとき、一句全体をやわらかく包みこむという性質を持っている。一句五・七・五を読み終わったときの余韻がふたたび上五・中七へ戻って、十七音をしずかな韻律の波にただよわせてくれる。しかし、上五や中七につよい切字が入ると、そういった余韻が消えてしまう。

〈 例〉

金色の佛ぞおはす蕨かな → 金色の佛ゐませ蕨かな

傘もつ手つめたくなりし牡丹かな → 傘もつ手つめたかりけり牡丹かな

帯解きてつかれいでたる蛍かな → 帯解けりつかれいでたる蛍かな 

  

 

最近、俳句の中に外来片仮名語が急増しているが、日本語は、漢字、平仮名、片仮名の順で〈重さ〉を持っている。片仮名語はたいへん軽い印象をあたえる。軽い言葉が、わずか十七音の中の何音かを占める傾向がつよまると、俳句作品は軽くなってしまう。本来の日本語の表現にかえてみる。

 

 

 

*風格と品と 

最近は長い言葉を簡略して短くした言葉が多い。(例)私鉄、入試、学割‥。しかし、日常生活には便利だからそれでよいが、詩の言葉としては「品」がない。避けるべきである。

 

 

 

*〔型・その3〕 応用型

「かな」は基本的には、三音の名詞季語について、下五におかれたときに一番効果的である。しかし、基本型のように画然とした(A)(B)の二物衝撃的な使われ方は近ごろ少なくなって、むしろ、一物俳句的な作り方で下五におかれることが多くなりつつある。

〈例句〉

はなびらの欠けて久しき野菊かな  後藤夜半

てのひらににうけて全(まった)き熟柿かな  木下夕爾  

 躓(つまず)いてかへり見すれば浮葉かな  後藤綾子  

 

また、三音を超えて五音・六音といった長い季語に「かな」がつくと、中七から下五へ句またがりでおかれることが定着している。下線は季語。

〈例句〉

いつしかにうせゆく針の供養かな  松本たかし

茶道具の一荷(いっか)も時代祭かな  岸風三桜

風の街見てゐる仕事始かな  村沢夏風 

 

 

このほか、季語ではない名詞についた場合や、名詞以外についた場合など、「かな」の使いみちはさまざまであり、多彩である。

〈例句〉

鳥のうちの鷹に生れし汝かな  橋本鶏二

五月闇(さつきやみ)より石神井(しゃくじい)の流れかな  川端茅舎

牡丹雪その夜の妻のにほふかな  石田波郷

 

「かな」はきっちり五・七・五で詠んだ方がおさまりがよい。

かなは下五に用いてこそ一句全体を余韻で包む効果が出る。

 

 

 

 

〈今週の暗誦句〉

初蝶(はつちょう)やわが三十(さんじゅう)の袖袂(そでたもと)

遠足や出羽(でわ)の童(わらべ)に出羽の山

葛(くず)咲くや嬬恋村(つまごいむら)の字(あざ)いくつ

蓼科(たてしな)は被(かず)く雲かも冬隣

                        石田波郷

  

 

【今日の一句】

外(と)にも出よ触るるばかりに春の月

                  中村汀女