素直な気持ち  

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『石牟礼道子全句集 泣きなが原』  

皆様、こんにちは

『石牟礼道子全句集 泣きなが原』を読みました。

石牟礼道子さんといえば水俣病の実態を被害者の証言をもとに描いた『苦海浄土』の作者です。  

石牟礼道子さんの句はこうだとか語る能力は私にはないのですが

衝撃でした。

 

『天』より

死におくれ死におくれして彼岸花

祈るべき天とおもえど天の病む

三界の火宅も秋ぞ霧の道

天日のふるえや衣のみ舞い落ちぬ

そこゆけば逢魔ヶ原ぞ 姫ふりかえれ

鬼女ひとりいて後ろむき 彼岸花

誰やらん櫛さしてゆく薄月夜

闇の中のものら華やぐ萩の風

椿落ちて狂女がつくる泥仏

 

『水村紀行』より

盲杖 嫗がひとり花ふぶき

ささくれて折れし木の声ここに落つ

ひがん花 棚田の空の炎上す

いつの世の花ぞ雪やみて冬の紅

われを待つ木の下闇の蛍かな

またひとつ断念したり冬椿

存在の闇深くして椿落つ

毒死列島身悶えしつつ野辺の花

睡蓮や地表の耳となりにけり

われひとり闇を抱きて悶絶す

向きあえば仏もわれもひとりかな

 

石牟礼道子全句集 泣きなが原

石牟礼道子全句集 泣きなが原

 

 

 

秋近しページに残るスピン跡