素直な気持ち  

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俳句の勉強20 新宿の空は四角や

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仲 冬

二十四節気  冬 至

七十二候   麋角解 さわしかのつのおつる

 

皆様、こんにちは

今回は藤田湘子『新版20週俳句入門』の第13週目「新宿の空は四角や」を勉強します

 

 

*配合は離れたものを

例句

ブルースを聞く足組むや九月尽(くがつじん)   さとみ

季語「九月尽」では漠然としていて、ブルースを聞いている場所が暗示されない。ブルースを聞いている室内を連想させる季語を使うこと。例えば、「秋灯(あきともし)」「秋桜(コスモス)」など。

  

税のこと聞かれてゐるや虫しぐれ    旅水

「虫しぐれ」も室内を連想させるが、 音楽←→虫しぐれ で両方とも聴覚にかかわる。同じ性質のものを配合するのはトクではない。

 

 

*季語の選び方

新宿の空は四角やいわし雲   深志

空を見たらいわし雲が見えた、というのは単純。空の方にこだわらないで、パッと目を転じる。

添削→新宿の空は四角や今年酒

 

紅(べに)うすく湯上がりや秋の宿  美木子

下五の「秋の宿」が報告的になっている。これこれの場所ですよとか、こういうことをしました、と、それだけで終わっていて情緒や情感を感じない。作者の心をとらえた季語を探す。

 

日の沈む河のほとりや曼珠沙華   桂子

ほとり→曼珠沙華 〈そのほとりに曼珠沙華が咲いていた〉というふうに、つながってしまっている。この「ほとり」的な〈つなぎの言葉〉をつい、うっかりつかってしまいがち。

例句 

礼状を書く目あげるや吊りしのぶ

病む父の枕に聞くや秋の蝉

大き荷に疲れて入るや氷店

下町に住みてせはしや冬支度

この下線の部分、季語のほうに心がいっている。切字「や」の効果は期待することはできない。

つなぎの「ほとり」をはずして、「日の沈む河」の印象を詠えばよい。

  添削→ 日の沈む河のしづかや曼珠沙華

      日の沈む河波立つや曼珠沙華

頭の中で考えず目で見たところを文字にすること。

 

*堅いという特徴

この〔型・その2〕、とくに基本となる、下五を季語の名詞止めにする作りは、現今ひじょうに少なくなっている。このことは、切字軽視、韻文意識の欠如に起因している。一方で、〔型・その1〕はまだまだ衰えない。〔型・その1〕が俳句の基本の基本だからであるが、さらには、応用型と併せて用いれば、かなり自由にいろいろの表現が可能という、自在性もある。その自在性が〔型・その2〕には乏しい。

〔型・その1〕とくらべれば、〔型・その2〕は堅確、堅牢といった特徴で、ときに固苦しいとか古臭いといった感じをともなう。

しかし、古臭い、ゆうずうがきかないならば、その古臭さ、ゆうずうのきかなさを消して、なおかつ切字の効果を発揮する表現を考えればよい。

どういう方法かというと、〔型・その2〕の切字「や」が古臭い感じや固苦しい感じをあたえているのなら、「や」を使わず、ほかの切字を使うようにすればよい。

 

下五に季語のおかれている例

鈴に入る玉こそよけれ春のくれ  三橋敏雄

音がして馬がをるなり夜(よ)の辛夷(こぶし) 神尾季羊

旅先の淋しさ似た障子に灯  岡本眸

未来図は直線多早稲の花  鍵和田秞子

老人の顔乾きけり三十三才(みそさざい)  飯島晴子

石に寄るたましひあら冬桜(ふゆざくら)  磯貝碧蹄館

遺書父になし母にな冬日向(ふゆひなた)  飯田龍太

速達は急いでくる青嵐   正木ゆう子

待てば来る男なりけり夕蓮(ゆうはちす)  黒田杏子

亡き夫(つま)を恋(こ)はず想(おも)へ藍浴衣  布施伊夜子

 

季語が上五・中七にある例

ぼんやりと夏至を過ごせ脹脛(ふくらはぎ)  佐藤鬼房

道はばの秋空ふか丸の内  岡田貞峰

遠山に雪来て居り五平餅  角川照子

山繭(やままゆ)の生るる木あり門を掃く  右城暮石

冬蜂を殺すほかな考へて  星野麥丘人

「や」のほかに中七の「をり」「なり」「ぬ」「よ」といったのが切字。ピシッとここで切れて、ひと呼吸おいて下五とひびき合っていることを、朗誦して確かめてみること。

 

*リズムが表現する

まつすぐの道に出けり秋の暮  高野素十 

フレーズの意味は〈まっすぐの道にに出たよ〉だが、朗唱しているうちに、〈今まっすぐの道に出た。しかし、それまでの作者は、曲りくねった道を歩いていたのだ」という連想が湧いてくる。

さらに連想のつばさを広げて〈その曲がった細い道をしばらく辿りながら、作者はちょっと心配になってきた。「この道、はたして目的地のほうに出られるのかな」そんな不安がきざして来た。それが、やっと大通りに出た。「やれやれ、これでひと安心」といった安堵感をもって詠ったのが「まっすぐの道に出けり」である。フレーズの意味だけを読んでいたら、そんなことは何も書いていないから分からないが、句のリズムがそれを表現している。韻文意識を忘れてはならない。俳句は韻文である。

また、季語「秋の暮」のはたらきも忘れてはならない。心配とか不安、あるいは安堵感といったことを感じさせている。

 

 宿題

①中七の終りに、「や」以外の、たとえば「けり」「なり」「をり」「よ」「ぞ」「ぬ」といった切字を入れる。②季語は、上五・中七・下五のどこにおいてもいい。宿題の約束はこれだけ。とにかく中七をしっかり切ることに徹底すること

 

〈今週の暗誦句 〉

みちのくの伊達(だて)の郡(こおり)の春田(はるた)かな

蛍火や山のやうなる百姓家(ひゃくしょうや)

                    富安風生

 

実朝(さねとも)の歌ちらと見ゆ日記買ふ

祖母山(そぼさん)も傾山(かたむくさん)夕立かな

                    山口青邨

 

 

【今日の一句】 

冬映に何の水輪や冬紅葉

           渡辺水巴